資産形成の手段として人気の「個人年金」ですが、筆者は全然おすすめできません。
結論としては、資産運用の第1選択は「保険」ではなく「iDeCo」や「つみたてNISA」です。その理由を分かりやすく解説していきます。
- 個人年金とは
- 個人年金をおすすめしない理由
- 個人年金の代わりになる資産形成の手段
- 表面上の利回りに惑わされてはいけない
- すでに入ってしまった人はどうする?
- 個人年金保険のよくある質問と回答
- ”個人年金をおすすめしない理由”のまとめ
個人年金とは
皆さんが加入している国民年金や厚生年金は、正式名称では「国民年金保険」「厚生年金保険」と言います。ご存じのとおり、この2種類の年金は国が運営しており、2つまとめて“公的年金”と呼ばれます。
一方、個人年金とは「個人年金保険」のことで、保険会社の商品として販売されています。公的保険だけに頼る老後の暮らしに不安を抱える人などが、資産形成の手段として契約していることが多いです。
個人年金をおすすめしない理由
銀行預金よりも利率が良いことから資産形成の手段として人気が高い個人年金保険ですが、当ブログでは全くおすすめできません。その理由をご紹介します。
貯蓄型保険だから
個人年金保険は貯蓄型保険(積立保険)の一つです。当ブログでは、そもそも貯蓄型保険(積立保険)に入ることをおすすめしていないため、個人年金保険をおすすめすることもできません。
貯蓄型保険(積立保険)をおすすめしない理由は、上の記事で分かりやすく解説しているので是非ご覧ください。簡単に紹介しておくと、貯蓄型保険(積立保険)のデメリットは以下の4つで、これは個人年金保険にも当てはまります。
①利回りが低すぎる
②手数料がぼったくり
③中途半端でコスパが悪い
④資金が拘束される
特に①利回りの低さは致命的で、株式投資と比べると圧倒的に利回りが悪いです。
そのため同じ金額・同じ期間積み立てを頑張ったとしても、将来の資産額に大きな差が付いてしまう可能性が高いです。この辺についても上の記事で詳しく解説しているのでご確認ください。
節税効果がショボいから
個人年金保険には「個人年金保険料控除」という制度があるため、年末調整や確定申告の際に年間の支払い保険料に応じた控除を受けることができます。
「ちょっと何言ってるかわからない…」という人は、『個人年金は節税にも使える』ぐらいに思っておいてください。
そのため「節税効果があるので実質利回りは○%ですよ!」というのが保険屋さんの常套句なのですが、正直この節税効果はかなりしょぼいです。というのも、個人年金保険料控除には上限があるため、年間支払い保険料8万円(6666円/月)で控除額は頭打ちになります。
一方で、後述するiDeCoの場合は掛金の全額が控除の対象になります。さらに、普通なら株で得た利益に掛かる約20%の税金も非課税となるため、老後の資産形成目的には圧倒的にiDeCoの方が優れていると言えるでしょう。
年間の掛金8万円で控除額が頭打ちになる個人年金保険に比べると、掛金の全額が控除の対象になるiDeCoの節税額はかなり大きいです。上のシミュレーション画像では年間61,200円も節税額に差が生まれます。仮に30年間継続すれば、その差は183万円にもなってしまうのです。
インフレに弱いから
個人年金保険を含めた貯蓄型保険では、満期時にいくらかお金が増えることが約束されているようなものです。しかし、数十年後の“お金の価値が現在と同じとは限らない”ことを知っておくべきでしょう。
今から20年前の2002年、マクドナルドのハンバーガーが1個59円だったのをご存知でしょうか。それが今は130円というほぼ2倍の価格で販売されています。これがインフレです。
極端な例ですが、物価が2倍になればお金の価値は半分になってしまうのです。また、ここ最近ではガソリン価格の上昇に伴いあらゆるモノが値上げされており、世界的にインフレ傾向にあることも付け加えておきます。数十年後にインフレが進行している可能性は高いでしょう。
さて、ほとんどの個人年金保険では契約時に受取金額が決まってしまいますが、満期時にインフレが進んでいたとしても当然受取金額が増えることはありません。これが個人年金が「インフレに弱い」と言われる理由です。
個人年金の代わりになる資産形成の手段
豊かな生活を送るために資産形成をしたいのなら、第1選択は保険ではなく国の制度を活用することをおすすめします。
資産形成の動機には「老後が不安」や「教育資金を貯めたい」、「マイホーム資金を貯めたい」など人それぞれですが、すべて『iDeCo』や『つみたてNISA』が解決してくれるでしょう。これらは個人での資産形成を後押しする国の制度であり、これを利用しない手はありません。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入者自らが掛け金を運用して自分年金を育てていく制度です。原則60歳まで引き出すことができないため、老後のための資産形成にもってこいの制度となっています。
iDeCoを始めるなら楽天証券やSBI証券、松井証券あたりが、初心者にもおすすめです。
【メリット】
・掛け金が全額所得控除の対象
・通常約20%の税金が非課税
・受け取り時の税制も優遇されている
【デメリット】
・60歳まで引き出せない
・投資なのでリスクはある
・受け取り時に税金が掛かる可能性もある
つみたてNISA
つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、年間40万円までの少額積立投資に限り、最長20年間投資で得た利益に掛かる税金を非課税にする制度です。iDeCoと違っていつでも換金可能なので、教育資金やマイホーム資金など様々な用途に使うことができます。
つみたてNISAを始めるなら楽天証券やSBI証券、松井証券あたりが、初心者にもおすすめです。
【メリット】
・少額から始められる
・通常約20%の税金が非課税
・いつでも換金できる
【デメリット】
・投資なのでリスクはある
・非課税投資枠の持ち越しができない
表面上の利回りに惑わされてはいけない
保険屋さんは「節税分で…」や「カード決済のポイント分で…」など、あの手この手で個人年金の利回りを良く見せようとしてきますが、表面上の利回りに騙されてはいけません。
「積立元金がいくらで、それがいくらになって返ってくるのか」これが全てです。以下のシミュレーションサイトに値を打ち込めば、本当の利回りが分かります。
節税額やカード決済ポイント分など、保険屋さんが言う全ての情報も加味して利回りを計算してみてください。それでも大した利回りにはなりらず、『iDeCo』や『つみたてNISA』には遠く及びません。
というか、個人年金保険は保険会社を通して投資を行っているのと同じなのです。あなたが投資を行うまでの間に「誰か」が介入するということは、そこで必ず手数料が発生します。
そもそも、全てを自分で行う『iDeCo』や『つみたてNISA』に保険商品が利回りで勝てるわけがないのです。
すでに入ってしまった人はどうする?
本記事を読んだ時点で、既に個人年金保険に入ってしまっている人へのアドバイスをしたいと思います。
筆者なら元本割れを受け入れて解約し、資金を投資に回します。なぜなら元本割れによる損失よりも投資を始めないことの機会損失の方が圧倒的に大きいからです。先述したとおり、株式投資は保険とは比べ物にならない程のポテンシャルを秘めているのです。
ただし、返戻率次第では解約のタイミングを考えた方がいい場合もあります。それは保険の内容にもよるので、自分で判断できない場合はお金のプロに相談してみるのがおすすめです。
保険チャンネルはスマホ1つあれば自宅で保険の無料相談をすることが可能で、オンライン相談のため対面での会話が苦手な人にもおすすめです。大切なお金を守るために利用できるものは積極的に利用していきましょう。
面談するだけでギフトチケットが貰えるのも、ささやかですが嬉しいポイントです。
個人年金保険のよくある質問と回答
”個人年金をおすすめしない理由”のまとめ
貯蓄型保険(積立保険)は、結局は高い手数料を支払って投資を保険会社に任せているのと同じです。どうせ投資をするのなら、全てを自分ですることで将来の資産が数百万円単位で変わってきます。
保険は家計を圧迫する大きな固定費です。保険料の見直しに興味がある人は、ぜひ以下の記事もご覧ください。