賃貸の退去費用の明細を見て「えっこんなに高いの?」と思ったことはありませんか?
そう思ったことがある人は、ボッタクリに遭っている可能性が高いです。
もう退去してしまったという人は次の機会のために、これから退去するという人は絶対にボッタクられないために、退去費用を安くする方法とコツをお伝えしていきます。
- 不動産はボッタクリだらけ
- 賃貸の退去費用とは何かおさらい
- 賃貸の退去費用を安く抑える方法5選
- 退去費用交渉のコツ
- 訴えられたりしないのか怖い…?
- 賃貸住宅の費用を抑える方法
- 退去費用を安くする方法のまとめ
不動産はボッタクリだらけ
まず頭に入れておいてもらいたいのは「不動産屋はあの手この手でお金を巻き上げようとしてくる」ということです。
もちろん全ての不動産屋がそうではないのですが、ほとんどそうだと思ってもらって構いません。そのため、知識がゼロの状態だと取られるだけ取られてしまうので気をつけてください。
とりあえずいろんな費用を見積書に組み込んでおいて「指摘されたら値下げする。指摘されなかったらラッキー」ぐらいに考えている業者がとても多いです。
まずはこの事実を知っておくだけでも『なんか怪しいな。ぼったくりじゃないかな。』と、違和感を察知できる能力が上がるはずです。
具体的な退去費用を抑える方法については後述していきます。
賃貸の退去費用とは何かおさらい
そもそも退去費用とは、原状回復義務により入居者が負担しなければならない”修繕費”のことで、入居時に敷金を払っていればそれが充てられ、敷金を払っていなければ別途修繕費を払うことになります。
修繕箇所が少なければ敷金は戻ってくるのですが、実際にはアレもコレもと修繕費を水増しされて「全く戻ってこなかった」ということも珍しくありません。
引越しが趣味という人でもない限り、「入居・退去」とは人生でそう何度も経験することではありません。そのため、ほとんどの人は『こんなものか』とボッタクリに遭ったことも気付かずに支払ってしまうことが多いのです。
しかし、払わなくていいものを払う必要はありません。ボッタクリに付き合う必要もありません。
大切なお金を守るため、退去費用を安く抑える方法をしっかり説明していきます。
賃貸の退去費用を安く抑える方法5選
前述のとおり、賃貸物件の退去時とはボッタクリの温床なので、正しい知識を手に入れて応戦しましょう。
退去費用を抑え、大切なお金を守る方法は以下の5つです。
②原状回復の範囲を知る
③火災保険を活用する
④無効な特約を指摘する
⑤退去時は綺麗に掃除しておく
①「ガイドラインを知ってる」と言う
賃貸の退去時には、オーナー・不動産屋と入居者の間で原状回復費用をめぐるトラブルが度々起こるものです。
そのため、国土交通省は入居者がどこまで費用を負担しなければならないのかを「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で明確化しています。
住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省
詳しくは後述しますが、このガイドラインには「原状回復とは借りた当時の状態に戻すことではない」「入居者に不利な特約は無効となるものもある」などが記されています。
つまり、このガイドラインに目を通しておけば、ボッタクリに遭う可能性はかなり低くなるのです。
極論、内容についてあまり分かっていなくても、退去手続きの際に「現状回復のガイドラインには目を通しています」と伝えるだけで、不動産屋に「チッ。知ってるのかよ。ぼったくれねぇな。」と思わせることができます。
②原状回復の範囲を知る
そもそも原状回復とは、「借りたときの状態で返すこと」と勘違いしている人がとても多いですが、正しくは「”過失や故意”により生じた修繕費を”現在の価値の分だけ”負担すること」なのです。
例えば『冷蔵庫を置いていた場所だけ壁紙が変色していた』場合、入居者に修繕費を支払う義務はありません。なぜなら、部屋に住むのなら冷蔵庫を置くことは当たり前で過失にはあたらないからです。
一方、『3年間住んだ部屋の壁に子供が落書きをした』場合、これは過失にあたるため修繕費を払う義務があります。
しかし、入居者が支払わなければならないのは“現在の価値の分だけ”で、この場合入居から3年が経過しているため、壁紙の価値は既に半分が失われている状態です。(壁紙の耐用年数は6年と決まっている)
つまり、新品の半額分しか負担する必要がないのです。
さらに、全面の交換費用を負担する必要はなく、その箇所の修繕費だけを負担すればよいことになっています。
こういった知識も、知らなければ全て新品の価格でボッタクリに遭うでしょう。必ず頭に入れていただきたいのは、『原状回復とは新品に戻すことではない』ということです。
③火災保険を活用する
ほとんどの火災保険には「借家人賠償責任補償」や「借家修理費用補償」「個人賠償責任補償」などといった、過失による修繕費を補償してくれる特約が付いています。
『通常使用による損耗は原状回復義務に当てはまらない』『過失や故意による破損で生じた修繕費を負担するだけでいい』ということを前述しましたが、火災保険を利用すればその修繕費すらも手出しする必要がなくなります。
せっかくお金を払って保険に加入しているのですから、使えるものは使っていかなければ勿体無いです。しかし、当然必ず使えるというものではないため、これを機に火災保険の内容を確認してみるとよいでしょう。
なお、賃貸契約時に「不動産屋から指定された火災保険に加入した」という人は見直しすることをおすすめします。
理由は、不動産屋指定の火災保険は保険料が割高である可能性が高いからです。コスパの良い火災保険に乗り換えれば、年間1万円ほど節約できることも少なくありません。
詳しくは以下の記事で紹介しているので、興味がある人はご覧ください。
④無効な特約を指摘する
退去費用は『過失や故意による破損で生じた修繕費を負担するだけでいい』と繰り返しお伝えしてきましたが、そうなると別の手段でお金を巻き上げようとしてくるのが不動産業界です。
その手段になっているのが「特約」というもので、これは非常にタチが悪いため気をつけなければなりません。
例えば、「入居者は退去時にハウスクリーニング費用を負担する」とか「入居者は退去時に鍵の交換費用を負担する」などが、契約書に特約として記載されていることが多いです。
しかし、しつこいようですが入居者が退去時に負担しなければならないのは『過失・故意による破損だけ』なのです。
それを主張すると「契約書に書いてますから」「サインと押印もしてもらってますけど?」というのが不動産屋の決まり文句です。
ここで泣き寝入りしてしまう人が多いのですが、特約を利用したボッタクリにお金を支払う必要はありません。
もちろん認められる特約もあるのですが、それには以下の全てを満たしておく必要があります。
悪徳な業者は「原状回復特約」とだけ契約書に記載しておき、退去時にクリーニング費用や鍵交換費用などをボッタクリ価格で請求してきますが、それは特約として認められません。
筆者の経験上、良心的なオーナーや不動産屋の場合は、内容と費用をきっちり契約書に記載しています。
なぜなら、部屋の構造がわかっていればクリーニング費用の相場は決まっていますし、鍵交換費用だって事前にわかるからです。
それなのに、あえて内容・金額を記載していないということは、取れそうなやつからはとことん取ってやろうと考えているからです。
また、③の”特約のページにもサイン押印があること”という条件は満たしていないことが多いです。たとえ契約書の最初のページにサイン押印があったとしても、特約のページになければ特約として認められません。
特約を言い分に法外な請求をしてくる業者には、毅然とした態度で応戦しましょう。
⑤退去時は綺麗に掃除しておく
次の集居者を募集するために部屋を綺麗にしておくことは、当然家主側がやるべきことで、退去者がクリーニング費用を払う必要はありません。
しかし、それは退去者が部屋を当たり前に綺麗に使用していた場合です。
例えば、退去者が部屋をゴミ屋敷のように使っていて、床にはシミが付きまくり、至る所にカビが生えまくっているのに「クリーニング費用は払いません」というのはあまりにも酷でしょう。
そのような事態に備えるために、特約は家主を守る意味で付いている側面もあるのです。
つまり、綺麗なまま家主へ返せばクリーニング費用は払わなくていいはずなのです。逆に、退去時に掃除するのが面倒ならばクリーニング費用を支払えばよいのです。
ただし、クリーニング費用を払う場合でもその価格は妥当なのか、入居時と退去時の二重請求になっていないかなどは必ずチェックしましょう。
退去費用交渉のコツ
退去費用を抑える知識は前述したので、ここからは実際に退去する際の交渉のコツを紹介していきます。
部屋の写真を撮っておく
修繕の必要がない箇所を勝手に修繕し、割高な修繕費を請求をしてくる悪徳な業者も珍しくありません。
家具を全て撤去したあと、退去前に部屋全体の写真を撮っておきましょう。できれば各箇所のアップも撮っておけばベストです。
全ての不動産屋がそうであるとは言いませんが、全て疑ってかかるぐらいの気持ちで動いていれば、ボッタクリのリスクも軽減できます。
納得いかない時はサインしない
請求金額に納得がいかなかったり違和感を覚えた場合は、その場でサインをしてはいけません。
不動産屋側からしたら、持ち帰って調べられたり知識を付けて欲しくありません。なので、何も知らないままさっさとサインをして欲しいのです。
「サインしてもらわないと退去できませんよ「退去できなければずっと家賃が発生しますよ」などと脅してくる不動産屋もいますが、そんなことはないので安心して下さい。
解約予告通知と鍵の返却で退去手続きは完了するのです。
お金を払わない
仮にサインをしてしまったとしても、お金さえ払っていなければまだ間に合います。
「サインしましたよね?」「訴訟問題になりますよ?」などと言われても支払う必要はないので粘り強く交渉を続けましょう。
もちろん払うべきものは払わなければなりませんので、どこまでこちらが負担しなければならないのかを今一度ガイドラインを読んで確認しておきましょう。
住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省
退去費用の相場を知る
退去費用の相場は、特約込みでも家賃の1ヶ月分が目安です。これを上回る場合はボッタクリに遭っている可能性が高いので前述した交渉術を使っていきましょう。
訴えられたりしないのか怖い…?
「サインしてますよね?」
「訴訟問題になりますよ?」
「次の部屋が借りれなくなりますよ?」
こういったお金のトラブルになると、上記のようなセリフで脅しをかけてくる業者も少なくありませんが、実際に訴訟問題に発展することは稀なので恐れる必要はありません。
なぜなら訴訟など起こしても、家主からしてみれば以下のようにデメリットの方が多いからです。
・訴訟費用に数十万円かかる
・勝っても10万円ほど請求できるだけ
・時間も1年ぐらいかかる
・弁護士も儲からないしやりたくない
10~20万円程度をぼったくるために、訴訟など起こしてもお金と時間が無駄になるだけなのです。
そんなことをしている暇があったら、さっさと次の入居者を募集して家賃収入を確保したいというのが家主の本音でしょう。
もちろん、入居者に非がないことが大前提です。ボッタクリに付き合う必要はありませんが、きちんと払うべきものは払わなければなりませんよ。
賃貸住宅の費用を抑える方法
退去費用の他にも、賃貸に住む場合はたくさんの節約ポイントがあります。
退去費用と合わせて実践することで、かなりの額を節約することができるためいくつか紹介しておきます。
家賃
そもそも家賃というのは、値下げ交渉されることを前提に数千円ほど高めに設定されていることが多いです。
相手も「交渉されなかったらラッキー。交渉されたら値下げする。」ぐらいの感じなので、こちらもダメ元で家賃交渉をしてみましょう。
具体的なテクニックや値下げ幅の目安などは以下の記事で詳しく解説しています。
礼金や仲介手数料などの初期費用
最近は仲介手数料が0円の不動産屋もかなり増えてきています。
同じ物件でも不動産屋によって初期費用が変わってくるので、初期費用が高額に感じたら他の不動産屋をいくつか回ってみることをおすすめします。
初期費用の節約術については、以下の記事で詳しく説明しています。
火災保険
管理会社から指定された火災保険は割高であることがほとんどなので、保険料の見直しを強くおすすめします。
もしも管理会社指定の火災保険に入ることが入居の条件になっている場合は、一旦指定された火災保険に加入し、入居後に安い火災保険へ乗り換える作戦がおすすめです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
引越し
引越し業界のぼったくりには本当に気を付けてください。対策するのとしないのとでは10万円ぐらい変わることも珍しくありません。
対策法としては、一社で即決してしまった場合ほぼ100%の確率でぼったくられるので、必ず相見積もりを取ることです。相見積もりの際はズバット引越し比較 などの一括見積もりサービスが便利です。
引越し費用の節約術は多いので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
クレジットカード払い
もしも家賃をクレジットカードで支払える場合は、クレジットカード払いにすることでポイントの分お得になります。
貯まるのは毎月数百ポイントですが、毎月毎年支払っていくと考えると馬鹿にできません。何より労力が全く掛からないのが大きいですね。
家賃をクレジットカードで払える物件は多くはないですが、一度管理会社に尋ねてみましょう。
クレジットカードは還元率1%以上のものが望ましいです。クレジットカードを持っていない人は、年会費無料で還元率1%の楽天カードがおすすめです。
電気料金
まだ大手の電力会社を使っている人は、新電力会社に乗り換えるだけで毎月数百円〜千円ほど電気代が安くなります。
賃貸物件でも、電力会社は入居者が自由に選ぶことができるので、必ず乗り換えておきましょう。
通信費
自身で光回線を契約している場合は、安い光回線事業者への乗り換えも検討しましょう。毎月千円〜二千円ほどの節約になるため、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
また、もしもまだ三大キャリア(docomo、au、SoftBank)でスマホを契約している人は、最優先で格安スマホに乗り換えましょう。毎月5,000円以上の節約になることはザラですよ。
退去費用を安くする方法のまとめ
②原状回復の範囲を知る
③火災保険を活用する
④無効な特約を指摘する
⑤退去時は綺麗に掃除しておく
こういった知識を知っているのと知らないのとでは、支払額が大きく違ってきます。
大切なお金を守るために、知識武装して積極的に交渉しましょう。