自動車保険に車両保険をつけると保険料が高くなるので、どうするべきか迷っている人は多いでしょう。しかし、車両保険をつけるべきかどうかはその人の置かれている状況にもよるため、明確な答えはありません。
そこで今回は、どのような状況ならば車両保険をつけるべきなのか、また保険料を抑えるにはどうすればいいいのかという”考え方”を中心に紹介していきます。
車両保険とは
「車両保険」とは、簡単に言うと自分の車を修理するための保険で、つけるかどうかはその人の自由です。
似たような保険に「自動車保険」がありますが、これは事故によって相手を死傷させてしまったり、相手の車や物を壊してしまったりした時にその賠償金を補償してくれる保険です。こちらも強制加入ではありませんが、必ず入っておくべき保険です。
車両保険をつけると保険料が跳ね上がる
対人・対物を補償する「自動車保険」には加入している人がほとんどでしょうが、「車両保険」に加入するかどうかは個人によって判断が分かれるところです。実際、自動車保険に加入中の人で車両保険をつけている人の割合は4割強となっています。
所有している車の種類や運転者の条件にもよりますが、自動車保険に車両保険をつけると保険料が2倍程に跳ね上がります。この”保険料の高さ”が原因で車両保険をつけるべきかどうか悩んでいるという人が大半でしょう。
保険の考え方
まずは、車両保険に限らず全ての保険商品に応用できる『保険に対する考え方』をご紹介します。以下は、”保険に加入するべきか否か”を検討する際の考え方を図で表したものです。
そもそも保険というのは、(A)にあたる“滅多に起きることはないが、起きてしまうと家計が破綻しかねないリスク”に備えるためのものです。それ以外のリスクに保険で備えると大抵損をしてしまうことになります。
なぜ損をするのかについては、以下の記事で詳しく解説しているので興味がある方は読んでみてください。
さて、運転中に相手を死なせてしまうような事故を起こすリスクは(A)に該当すると言えるでしょう。だから自動車保険は絶対に必要なのです。
では、あなたの車が事故や災害によって壊れてしまうリスクは(A)~(D)のどこに該当するでしょうか。発生の頻度は低いですが、経済的ダメージの大きさはその人によるため(A)もしくは(C)でしょう。
なので、結論としては様々な要因を加味して「うちの車が壊れるリスクは(A)だ」と判断した場合は車両保険をつけるべきと言えるでしょう。
車両保険をつけるべき要因
それでは、経済的ダメージが大きくなりがちな要因。すなわち車両保険をつけるべきと判断される要因を紹介していきます。
以下のいずれかに当てはまっている場合は、自動車保険に車両保険をつけることを前向きに検討してみるべきでしょう。
ローン支払い中である
ローンを組んで車を購入した場合、ローン残高が少なくなるまでは車両保険をつけておいた方がいいかもしれません。仮に車が全損してしまった場合、ローンは残ったままなので支払いを続けなければいけません。
車両保険をつけていれば保険金をローンの返済に充てることができますが、そうでない場合は廃車になった車のローンを払いながら次の車を購入することになるもしくは次の車を買うことができない状況になってしまうかもしれません。
月々数万円のローンでは人生が終わるほどの経済的ダメージにはなりませんが、精神的にはかなりのダメージとなるでしょう。
車の価値が高い
高額な車の場合は、月々のローン代や修理代も高い傾向にあるため、万一の事故に車両保険で備えるのもアリです。
しかし、高額な車の場合は保険料も高くなってしまいます。自身の資産状況や生活環境を加味して慎重に検討するべきでしょう。
車の使用頻度が高い
車の使用頻度が高いということは、それだけ事故に遭遇する確率も高いと言えます。また、車が必須な地域に住んでいるのなら、次の車を購入できないと生活に支障を来たすため、いざという時の購入資金として車両保険をつけることも検討するべきでしょう。
筆者も地方に住んでいるため、生活に車は必須です。公共交通機関が充実していれば購入資金が貯まるまで我慢しますが、そういうわけにもいかないのが現実です。
日常的に車を使用する人は、車両保険の必要性が高くなるでしょう。
十分な貯蓄がない
車の買い替え費用や修理代を払うだけの貯蓄がない場合は、車両保険をつけておいた方が良いでしょう。
最低でも中古車を一括で購入できる資金が無いのであれば、万一の際に備えて車両保険をつけておくことをおすすめします。
要するに、十分な貯蓄があれば世の中の保険商品はほとんど必要ないということです。貯蓄を増やすための節約術は当ブログでたくさん紹介しているので、是非他の記事も見て行って下さいね。
車両保険不要論
近年インターネットやSNSが普及して、「車両保険不要論」に触れる機会が多くなったように感じます。タイトルのとおり、”車両保険が必要か不要かに答えはない”というのが筆者の考えですが、車両保険不要論者の意見もかなり理にかなっています。
大切なのは、きちんと自分で考えて車両保険をつけるべきか判断することです。なんとなくで加入するのは保険屋さんの良いカモですよ。
ということで、ここでは車両保険が不要と言われる理由をご紹介します。
車選びが間違っている
そもそも車両保険とは、買い替え資金や修理費用を支払うための貯蓄がない人のための商品です。
「修理費すら払う余裕がないのに、なぜローンを組んでまでその車を買うんだ?そもそも身の丈に合っていない車を買うべきではない。安い車なんて他にいくらでもあるだろう?」
というのが車両保険不要論者の考え方です。たしかに正論ではあると思います。しかし、車とは人それぞれ様々な理由があって買うものですから、この考え方は筆者はあまり好きではありません。
当ブログのコンセプトである“節約術”的には「身の丈に合わない車を買うな」という考え方が正しいともちろん理解していますが、それでは既に購入している人の手助けにはならないと考えます。
小さい修理には使えない
修理費の支払いに車両保険を利用すると、翌年からの保険料が高くなってしまいます。
そのため、少額の修理代ならば保険を使わずに手出しする方がトータルの支出を抑えられるのです。小さい修理には”使えない”というより、”使わないほうが得をする”と言う方が正しいでしょうか。
愛車の修理費をまかなうために保険に入っているのに、それを使うことで結果的に損をするのであれば何のための保険かわかりませんよね。そのため、車両保険をつけずに浮いたお金を貯金に回し、万が一の修理に備えた方がいいという考え方もあります。
修理代の全額が保証されている訳ではない
たまに勘違いされている人がいますが、車両保険に入っているからといって修理代の全額が保証されている訳ではありません。
というのも、保険金の上限額はその車の時価額(現在の価値)と決まっているからです。そして、時価額は新車の状態を基準に毎年20%程度下がっていきます。
仮に新車時の価値が300万円とした場合、2年目には240万円程度の時価額となります。つまり、2年後に全損となった場合は満額でも240万円しか保険が下りることはないため、もう一度同じ車を買おうとすると、差額の60万円は手出しする必要があるのです。
新車購入時の価格を全額補償してもらう手段として、「新車買替特約」を付ける方法がありますが、これを付けると当然保険料は高くなります。
『車両保険は小さい修理には使えない。かといって全損の場合でも十分な保険金が下りない可能性が高い。』これが車両保険不要論者の根拠です。
筆者なりの結論を紹介
繰り返しになりますが、車両保険をつけるべきか否かという問題に対する明確な答えはありません。なので、ここまで解説した要素を加味して筆者なりの結論を出したので、参考までに紹介します。
「車をローンで購入した場合、ローン残高が50%を下回るまでは車両保険をつける。そして、可能ならば新車買い替え特約を付ける」
車両保険をつけていない状態で全損してしまった場合、ローンが丸々残っていても人生が終わるほどの経済的ダメージにはなりませんが、精神的にはかなりキツイため車両保険で備えます。
金銭的な面はもちろんですが、どちらかというと精神的な影響を重視した結論です。
車両保険代を抑える方法
自動車保険に車両保険をつけると保険料が2倍近くに跳ね上がります。そのため車両保険をつけるのであれば、以下で紹介する方法を駆使して可能な限り保険料を抑えましょう。
安い保険会社を選ぶ
そもそもの保険料が高い会社で契約してしまうと、いくら内容を見直そうとも結局は割高な保険料を支払わなければなりません。高い保険会社と安い保険会社を比較した場合、年間10万円以上の差になることも珍しくありません。
そのため、保険会社を見直すことが最も手っ取り早くかつ効果的な保険料の節約術なのです。
一社ずつ見積もりを行ってもいいのですが、複数の保険会社を一気に比較できる自動車保険一括見積サービス がかなり便利でおすすめです。
補償範囲を限定する
(参照:一般自動車保険 | 【公式】損保ジャパン)
全ての事故に対して補償してもらうよりも、事故の範囲を限定することで保険料が大幅に変わっていきます。例えば、「運転に自信がある場合は自損事故を補償から外す」などして保険料を調整しましょう。
”車両保険はつけるべきか否か”のまとめ
車両保険をつけるべきかどうかに答えはないため、どんな要素を加味して検討すればよいかを解説していきました。大事なのは『車=車両保険』ではなく、自分でしっかり考えることです。
保険の見直しは家計に大きくプラスになるので、積極的に改善していきましょう。